大分でナショジオの編集長の講演会

10月30日大分市のホルトホールで、ナショナルジオグラフィックの日本版編集長の大塚茂夫編集長による講演「地球をとるか、プラスチックをとるか?」が行われました。

ナショナルジオグラフィック誌に掲載された海ごみ問題やプラスチック問題についての記述は、他のイメージだけの雑誌と異なり、しっかりとした科学的調査の結果を示していることが特徴といえるかもしれません。ただ、お堅い研究雑誌と異なって、人々に訴えるビジュアル、写真をベースにしているので専門知識が無い方にでも分かりやすいものになっています。

今回の講演は、過去に出版したナショジオ誌に基づいたお話しが中心でした。実は水辺に遊ぶ会は、講演で話された内容はほとんど知っていたので、何やら復習?といった感じなりましたが、改めて考えさせられる部分もありました。

ナショジオは、プラスチック問題のムックを最近出版しました。これを読んでいて一番気になったのは、清涼飲料水や食品メーカーなどのボトルやパッケージによる環境汚染がアメリカ議会で70年も前に問題となり、メーカーに一定の責任を負わせゴミ削減をしようとする動きがあったという点です。そんなことをされてはメーカーは困ります。その時、メーカー側がとった対抗策が「ポイ捨て禁止!」を促す「キープ・アメリカ・ビューティフル」というキャンペーンだったということです。ネイティブアメリカンの人が涙を流して汚れた大地を憂える写真が付いています。心を打つポスターです。ですが、実際に写っているのは俳優さんでネイティブアメリカンでも無かったそうです。つまり、メーカーが直接、ゴミの増加の責任を負うのでは無く、あくまで消費者もモラルの問題であるとしようとしたというのです。

おそらく、どこかの広告代理店あたりが考えたのでしょうが、これがうまく大当たりして、ゴミ問題の犯人は、メーカーでは無く、モラルの欠落した人々の問題というふうに誘導することに成功したようです。現在のプラスチックゴミ問題は、ポイ捨て禁止!ではどうにもならない状況になっているのですが、今でも子どもたちのポスターには「ポイ捨て禁止!」が書き込まれているものが多いですね。そういう意味では、このキャンペーンは今の日本でも生きているということなのかもしれません。

現在、プラごみの問題は、最終的に自治体が責任を負う形になっていますが、実際は、生産、消費、リサイクル、最終処分等の各セクターが協力しなければうまくいかない状況となっています。原因を単純化しても解決できない複雑なものになってしまっているのがホントなんですね。もしかすると、これからは商品の価格に転嫁してでも回収などを行わなければならないのかもしれませんね。

結構聴講者が多かったのにびっくりしました。関心の高さがうかがえます。

講演会場の外には、プラごみ問題を示したパネルやナショジオのキレイだけど問題を提起する写真の展示も行われています。

展示前準備中の水辺が応募した写真も貼られるみたいです。時間が無くてきちんと展示したの写真は撮れなかった…。

 

 

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