8月31日大分県庁で行われた大分県土木事務所の「いい川づくりコンペ」の審査員として恥ずかしながら参加させて頂きました。
これは、河川課が毎年実施しているもので、けっこうな規模で行われます。同じく、審査をされた、熊本大学や九州大学の先生も参加人数にびっくりされていました。県土木の関係所は県内に13あるらしいのですが、そのうちの約半分がコンペに参加していました。中津土木さんからも発表者が来ておりましたよ。このコンペ、若手の登竜門なんていわれているようです。若い発表者のみなさんの緊張感が伝わってきましたが、皆それぞれ興味深かったです。
県内各地の先進的な川づくりの事例やまちづくり、自然環境を考慮に入れた開発などいろいろな発表がありました。環境問題で土木などはとかく批判されがちですが、実際に地元や関係各所と調整しながら現場で頑張っているのは他ならぬ土木の職員の皆さんなんですよね。
川の事業は、地域住民の皆様の意見を取り入れるといいますが、一般の方々は川や自然から離れて久しかったり、ほとんど知らない人が多いのが実情です。なので、いきおい表面的な実益を中心に意見を述べがちですよね。自然や川について学んでいる土木の皆さんの方がよっぽど自然との関係について詳しかったりもします。
なので、こちらの手前勝手な考えですが、土木の若手の皆さんには、めげずにへこたれずに学んだ最新の知見や情報をもとに人と自然がよりよい関係を結べるように地域方々を導いてくれるようになっていただけると素晴らしいと思います。よりよい方向に向かうには皆さんの力が欠かせないと思うのです。
昔、川はそこに暮らす人々のものでした。明治、昭和と政府や自治体が関与するようになり、地域住民と川との間にどんどん距離が生まれてしまいました。人々は、かつて自分の庭のようにいつもそこに行って遊んだり、薪や草などの資源を確保したりしていました。自分たちの土地なので、当然土手の工事などは自分たちがお金や力を出して作業をしていました。それが、資金や労力の提供は行政がしてくれるようになり、当初は喜んでいたと思いますが、今は行ってはいけない場所、行政の担当する場所ということになってしまい、人々との暮らしとはあまり関係がなくなってしまったのです。
もっとも、昔の人々も皆が川の造作に詳しかったわけではなく、技術者やお坊さんみたいな知識人が人々を導いたものと思います。100年後の未来に思いを馳せながら、もう一度自然との結びつきを取り戻せるように、その役割をみなさんが担って頂けたら幸いです。汚れ役の多い仕事だと思いますが自然豊かな古里をつくっているのは自分たちだという誇りを持って進んで行って下さい。