調査研究活動

◆水辺に遊ぶ会の活動は多くの方に水辺環境の大切さを知ってもらう啓発活動がメインですが、それと同時に、これらの活動の科学的裏付けとなる様々な情報を得るための調査活動にも比重を置いています。活動開始時には、国内の様々な研究者の方の指導の下、「市民の手による学術レベルの調査」を目標に様々な調査を実施、中津干潟の「希少性」を次々と明らかにしてきました。これらの成果は、レポート発行や報告会の開催などの形で情報発信してきましたが、今後はインターネットなども活用し、更に幅広く発信することを通じ、中津干潟や周辺の水辺環境の豊かさや現状について、多くの方に知っていただき、考えていただけるよう、努力を続けたいと思っています。

◆また、最近では、大学や研究者が行う研究の現地でのフォローや、将来の研究を担う学生や若手研究者のサポートも行っています。従来の、市民の手による調査に加え、より専門性の高い研究が活発に行われることにより、中津干潟のメカニズムの解明や、科学的根拠に基づいた保全手法の確立など、今現在途上にある干潟研究の一助になることを願っています。2017年度からは、これら中津干潟に集う研究者と市民を繋ぐ緩やかなネットワーク「中津干潟アカデミア」を立ち上げました。共通のフィールドで研究活動を行っている人々が一堂に会し意見交換をすることで、研究のシナジー効果が期待されると同時に、中津干潟の価値をより高めていけたらと思っています。


中津干潟アカデミア

「中津干潟アカデミア」は、中津干潟と集水域を研究フィールドとする大学関係者・研究者と市民が一堂に集い、研究発表などを通して互いに交流する緩やかなネットワークです。

中津干潟に価値を見出す研究者や市民が、分野や立場の垣根を越えて親交することで触発し合い、中津干潟に関する研究を進めることを通じて、その価値を認め高めていくことを目的とします。同時に生物や干潟環境などに関心を持つ地域の子ども達に高等教育の面白さや意義深さに触れてもらい、将来の進路を考える機会としてもらうことも目標とします。


中津干潟周辺地域産生物目録

各分野の研究者との連携を行いながら、1999年より継続的に中津干潟の生物調査を実施しています。これらの結果をもとに、水辺に遊ぶ会および会に所属、あるいは協力する研究者が記録(標本・写真)した種と、可能な範囲での文献情報から、「中津干潟周辺地域産生物目録」を作成しています。中津干潟は希少種が多いのが特徴ですが、普通種も含め生息している生物の種がとても多いことに加え、個体数も多いことが特徴です。

「中津干潟レポート2003」

「中津干潟レポート2013」


カブトガニ調査

中津干潟は国内有数のカブトガニ生息地として知られていますが、カブトガニが生息していることは、水辺に遊ぶ会が活動を始めるまで知られていませんでした。活動のシンボルであり、子どもたちに大人気の「生きた化石」の現状を知り、保護につなげるため、毎年、夏期を中心に、産卵状況調査、干潟面の幼生の分布調査、成体の標識放流などを実施しています。また、産卵地の砂浜を再生する取り組みなども地域行政とともに試みています。


渡り鳥調査

北半球と南半球をぐるっと旅するシギやチドリの仲間が、日本の干潟を中継地として利用することは有名です。中津干潟でも数多くのシギやチドリが飛来して、忙しくエサをとる姿を見ることができます。中津干潟は大変広く、全面に散らばったシギ・チドリ類の飛来数や状況を調べるのは大変な作業ですが、「中津干潟シギ・チドリ類調査グループ(国内のNPOや個人によるネットワーク)」が一年を通じ精力的な調査を実施しています。みなさんの熱心な調査により、中津干潟は国内トップクラスの飛来地であることが明らかになっています。

また、冬に飛来するカモ類や小型のカモメの仲間のズグロカモメなどについても、飛来数の調査を行っています。

「中津干潟シギ・チドリ類レポート2016」


その他の生物調査

中津干潟が最後のまとまった生息地となっているアオギス、スナメリの漂着個体調査、塩性湿地の生物や植物など、必要に応じて調査を実施しています。

また、集水域である山国川流域や犬丸川流域の生物調査、種の保存法に指定されているベッコウトンボの生息する池の調査なども行っています。


地形調査

主に大新田地区と舞手川河口域において、干潟や河口砂州、河口湿地の経年変化を調べるため、測量などの地形調査や粒度組成調査などを継続して実施しています。


ヒアリング調査・古い写真や漁具の収集

過去の干潟の環境や利用状況、文化や風習などを知ることを目的に、地域住民からのヒアリング調査を行っています。併せて、たこつぼや古い漁具、民具などの収集や、昔の海や川の写真なども集めています。