うつくし作戦県民会議

5月17日大分市で、うつくし作戦県民会議が開かれ、水辺に遊ぶ会も出席してきました。今回の主な議題は「第4次大分県環境基本計画について」と新しい県民運動の名称についてでした。

水辺の所属している「自然保護・観光部会」では、道路整備の中で街路樹の適切な手入れが成されていないこと、環境を保全することで、観光に結びつけようなどの議論が行われました。水辺からは、土木や建設を行う中で、自然環境とのの調和を促すことを提案しました。これは、単に木を植えようということではなくて、木を植えることで得られる意味をしっかり考えながら、その維持も含めて100年後の未来に、私たちの子孫が元気に暮らせる社会を作ろうとするものです。

自然との調和の具体的手法については、まだまだ考えなくてはならないことが一杯です。これまでは、とにかく簡単に施工できて、丈夫で長持ちといった部分が強調され、一歩引いた広い範囲の見える目で土木建築を見ることができていなかったと思います。その道をつけることで、これまでの自然にどのような影響を与えるのか、そのビルを建てることで、地下の水の流れはどうなるのかなどあんまり気にしていませんでした。同時に改善する方法についてもよく分かっていなかった部分が多いのですが、明治以前に普通に行われていた伝統的な工法、技術が現代の土木と融合できる研究が進みつつあります。

伝統知を用いた土木建築は、建築基準法や行政の土木積算などでは実現できない要素を多分に含んでいます。例えば、道路を作るのに、木の枝や葉っぱを使ったりします。材料も規格化されている物では無く、すぐ近くにあるものをつかったりもします。事前に客観性とか一般性を持たせることは難しく、現場で観察と改善を繰り返しながら施工する場合も多くあります。なので、導入は一筋縄ではいかないかも知れません。

ただ、西洋医学の手法が確立し薬などの作用機序がハッキリ分からなければ、薬として認めないという従来の考え方は、過去の事となっていることは周知の通りです。もちろん科学的エビデンス大切にすることは、変わりないものの伝統的に用いてきた漢方薬についても医療として認めていますよね。細胞レベルの作用機序はよく分かっていないけど、確かに症状を改善してくれるようなばあいのことです。

同じように、土木建築の現場でも伝統的な知恵を用いて、現代土木ではうまくいかない所も改善することは可能なのです。同時に、昔の人の考え方である「土地を育てる」といった考え方は、現代には無くなってしまったものです。道路は作ったときから劣化が始まるもの、護岸も完成と共に徐々に弱っていくものという考え方が普通です。でも、地下生態系のことを考え、木々の役割を加味した伝統土木では、完成時がパーフェクトというのではなく、時間を掛けて、自然の力をうまく使いながらどんどん良くなっていく方向に導くように施業しています。

この伝統工法は、教科書を読めば理解できて、すぐ使える……といったものではありません。現場に出て、その土地の成り立ちや、構造、植生、地下の水の流れなど自然を総合的に捉える訓練が必要です。そして、施工後どのように土地が育っていくのかを予測できるだけの経験を積まねばなりません。しかし、そのような土木建築が世の中に広がることで、自然再興(ネイチャーポジティブ)が実現できるものと考えます。

本会議では、各部会での議論がまとめられて、環境基本計画に反映される物とおもいます。今回の計画は、まだまだ従来型のワクの中に止まっていると感じました。全ての社会・経済活動の基本は自然環境にあり、自然環境という視座から社会・経済問題を解決していくというようにしなければ、私たちの社会は、どこまでいってもネイチャーネガティブになり、結果として私たち自身の首を絞めることにつながるでしょう。そうならないためにも、自然環境の視点に立って物事をみつめる練習を私たちはしなければならないのだと思います。

あと、「うつくし作戦」という名称は無くなり、これからは「グリーンアップおおいた」という呼び名が採用されました。さらに、これまで貢献された個人、団体の表彰なども行われました。

佐藤知事のご挨拶です。

新しい県民運動の名前は「グリーンアップおおいた」と決まりました。

あと、永年の功労者に感謝状が贈呈されました。中津からは横光陽子さんが受賞されていましたよ。

 

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