うつくし作戦県民会議

1月11日大分市で「うつくし作戦県民会議」が行われました。水辺に遊ぶ会は、自然保護・観光部会に所属していますが、今回は県環境基本計画長期計画などに関わる意見などを伝えてきました。

計画の案をみると脱炭素社会へ向けての動きが急ピッチで進められていることがよく分かります。とても大事なことだと思います。ただ、私たちが暮らす自然環境との関係というのがちょっと弱い感じもしました。

例えば、山の防災に関する施業ですが、治山ダム、砂防ダムなどは、防災に役立つ場合もありますが、むしろ山の安定を壊してしまう場合もあります。設置だけでなく継続的に状況をモニタリングすることも大切だと思います。砂防ダムなどの設置に伴って山や森が荒れはじめるとむしろ災害を誘発することになりかねません。林業の機材大規模化に伴う大きな林道なども同様の影響が心配です。そうしたことは、生物多様性を損ないますし、結果として私たち自身の生活に響いても来ます。

また、再生可能エネルギーに関しては、大型の風力発電、太陽光発電は尾根筋への設置や谷を埋めるなどの改変を避けるなど、相当慎重に考えないと防災上も危険ですし、生物多様性も損なわれます。林業の大規模化も実は災害誘発の危険があります。脱炭素社会をうたいながら実際はその逆になってしまっていることもあります。皆伐後再造林をしないと土中の炭素がむしろ多く放出されます。間伐材を用いるはずの木質チップ発電についても、海外から燃焼材を輸入しては意味がありません。もともと発電のエネルギー効率が悪いので石炭発電よりCO2を出すなんて話もありますので良く考えないといけないでしょう。

これらのことは、局所的な効率や生産性に目を奪われ、むしろ全体としてマイナスとなってしまっていることを示しています。工業機械のように自然環境を見ていると足下をすくわれるでしょう。入念な調査と一見非効率でも確実な方法を考えたり、自然の力をしっかり読み、利用させてもらうよう考えなければなりません。それには時間も人でもかかると思いますが、長い目で見ればむしろ効率的で生産性が高くなることも多いと思います。江戸時代以前の伝統知に基づく環境の改善法が今注目されつつあります。今まで示した問題についても一定の解決策が示されてもいます。

生物多様性保全は、都市計画、インフラ整備など街づくり全体に関わらざるを得ない考え方です。そして、私たち自身の生活に直結してます。めずらしい生きものを守ったり、外来種を駆除することは大切なことかもしれませんが、私たちが直面している生物多様性低下問題の答えは そこにあるわけではありません。むしろ、丈夫で長持ち、施工性が高いといった経済的な部分ばかりに目を向けて、地下生態系や生物間の相互作用など精緻で複雑な生き物の世界を無視した開発が私たち自身の首をしめていることに気づくべきでしょう。だからこそ、開発の手法、施工内容などを自然再生型のものに徐々にでも変えていくことが解決の糸口になると思います。

焦って急いでやろうとすると失敗することが多いでしょう。よく考えて、実施し、間違っていないか時間をかけて検証することが求められます。

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