大学生が蛎瀬川ごみ調査!

1月29日、蛎瀬川の河口に近い蛎瀬大橋周辺で、川ごみの調査を行いました。調べてくれたのは、日本文理大学の学生さん3人。川のごみがどこから来たのか、どれくらいあるのか、いつから滞留しているのかなどを調べます。今回は、サンプリングということで、調べるための材料集めです。

調査のきっかけは、地元地域の人たちが川が汚れているのに心を痛め何とかならないかと悩んでいることを聞いたことでした。水辺に遊ぶ会も何人かの方に相談や問題点についてお話しを聞かせていただいています。これを受けて、12月には「中津干潟アカデミア」で、5つの大学の先生方にお集まりいただいて、蛎瀬川のゴミ問題にスポットを当てシンポジウムも開かせていただきました。

主な論点はいくつか数えられます。1つは、今話題になっている海ごみのほとんどは陸からやってくること。そしてそれは川を通路として流れ出すこと。2つめは、川のごみのたまりやすい場所に限って全国でも数が激減してしまった希少な生物が多数くらしていること。3つめは、どうやったら効率的にこのゴミを回収できるかということでした。

1つめの問題では、川に溜まっているごみを取り除くためにヨシ原を根こそぎ撤去してしまうと結局ゴミは海に流れ込んでしまうので困るということが話し合われました。面白かったのは、むしろヨシ原があることで、ゴミを捕まえることができることから、ここを片付けることで海ごみの流出を防ぐことできるということでした。また、私たちの生活の負の部分を目の当たりにできることから、暮らしのしかたを考え直すきっかけにできるのではないかとの意見もありました。でも、地元の人は大変ですよね。

2つめの問題は1つ目の問題とつながるのですが、ヨシ原を撤去してしまうと、そこに暮らす生きものたちが絶滅してしまう危険を伴うということでした。蛎瀬川河口域というのは、本当にすごいところで、生物多様性という視点でここの自然を見つめると全国屈指の素晴らしい場所であることが分かっています。中津干潟は希少種がいっぱいいることろとして知られていますが、その中でも中津川と蛎瀬川は群を抜いているそうです。水産大学校や島根大学、底生生物の専門家の方々の調査でも証明されています。

3つめの問題は、中々ハードルが高くて、結局人力で集めるのが一番確実で早いということでした。でも、胴長をはいて集める作業は中々大変ですよね。なので、少しでも楽にできないかと考え、まずはたも網で浮かんだプラスチックや空き缶を救ってみようとしました。他にもネットをかけて回収する方法や、海外で広がっている小型ドローンタイプのごみ回収船などの利用も検討しました。

すぐにでも調査などをやってみたかったのですが、正月から休みなしで頑張っている水辺はどういうわけか忙しいばっかりで、中々手を付けることが出来なかったのです。ようやく先日、調査の意味で実際にゴミを1時間ほど拾うことができました。重さは40キロ。軽トラック平積みと少し盛るくらいごみを回収できました。でもほんの一角に過ぎません。作業してみた感覚として、おそらく1トンを越えるゴミがたまっていると思われました。ほとんどはプラスチックごみですが、それ以外にも空き缶やカセットコンロのボンベなども多数含まれていました。

また、手で直に回収するのと、潮の高い時にたも網で救うのと比べると、手の方が2倍速いことがわかりました。でも、たも網で救うのは、手間もかかりませんし、気軽にやれるかなぁなんて思いました。ただし、足場のしっかりしたところで、道具も工夫した方が良いということになりました。ここいら辺はまた、実験しながら検討していきたいですね。

今回の学生さんたちも作業しながら「きりがないっすねぇ」などと文句をたれつつも一生懸命ゴミを集めました。案外古いペットボトルも見つかったりして、長期間ここに滞留していた可能性も考えられました。「上流でごみを捨てるからいけないんですよ!」とお怒りのご様子。中には、買ったお店の名前がついたままのゴミもあり、これもどこ由来のゴミかを調べる良いサンプルになりました。

作業中に地元の方々から暖かい声をかけていただきました。胴長をはいて、ウロチョロしていてご迷惑をかけているのに本当にすみません。ありがとう!なんて声を掛けて下さる方も複数いらっしゃいました。いろいろと調べて、何とか継続的にゴミを集めて処理できる方法を探っていきたいと思っています。

プラスチックごみというのは昔は無かったんですね。なので、昔のごみは土にかえりました。ちょっと盛り上がったような川の洲が大好きな生きものたちは、そのごみを食べて生活していたのです。それが、ここ数十年でプラスチックゴミが増えてしまい。彼らも困っているかも知れません。その上、洲やそこに広がるヨシ原を撤去されてしまうと本当に絶滅してしまいます。実際他の地域でそうしてきたからこそ、絶滅危惧種と呼ばれるものになってしまったのです。

ともかく、近いうちにごみ拾いをやりたいと思っています。どのような方法が良いのかもう少し考えてみたいと思います。でもやりますよ!学生さん達も手伝ってくれるようです。ありがとう!

蛎瀬大橋のすぐ上流です。地元のおじいさんが声を掛けてくれ「ありがとう」と言ってくれました。何かうれしい!

大学生に調査チームは3名。2人がサンプリング、1人が記録係です。

ヨシ原の中でも草丈の低い場所にごみが集中する傾向が見られました。ゴミが先か、草丈が先か?

作業中に絶滅危惧種ツクシガモがワンサとご飯を食べにやってきました。ヨシ原が彼らのご飯を育みます。

一番ごみが集まっているところです。このままナショナルジオグラフィックに投稿しようかと思う状態ですね。

でも、このゴミの下に他では絶滅したような超レアな絶滅危惧種がいっぱい暮らしています。マジです。びっくり!

サンプルは袋につめて運びます。サンプルと言っても結構な量になりました。これを大分市まで持ち帰ります。

軽トラの荷台にこんな感じです。先日拾ったより少し少なめですが、かなりの量です。

何とこのゴミを軽ワンボックスに積み込みます!すごいなぁ。がんばって調べてね!

 

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